3分でわかるシリーズ

Wireless Sensor System(WSS)

1 WSSとは

当社で提供しているWireless Sensor System(WSS)は、Wireless Sensor Networkと呼ぶこともあり、IEEE802.15.4やZigBeeといった技術が注目を集めています。

WSSは、その名の通り、センサーノードを無線で接続し、広範囲のセンサーデータを手軽に収集できるネットワークのことです。一般的には、なんらかのセンサー+ZigBee通信モジュール+CPUという構成をとるセンサーノードが、マルチホップという手法をとって自律的にネットワークを構築し、データがサーバーに集まってくる・・・というものです。

2 注目されるZigBee

Bluetoothや無線LANといった無線データ通信の規格はいろいろとありますが、ZigBeeはこれらに比べて通信速度は遅い代わりに消費電力が小さいことが大きな特徴となっている規格です。家電機器の制御や屋外向けの監視装置、ビルオートメーションなどの用途を想定してZigBee Allianceが規格を制定し、日本でもSIG(Special Interest Group)が発足したことで標準規格として一気に広まりそうです。

正確にはZigBeeはIEEE802.15.4という2.4GHz帯(日本の場合)の通信規格の上に、ネットワーク層以上のプロトコルを既定したもので、通信速度や距離などを規定しているのはZigBeeではなく、IEEE802.15.4です。ZigBeeの特徴であるネットワーク層について、もう少し説明します。

通常のネットワークではバス型やリング型、スター型のトポロジが多いですが、ZigBeeはこのほかに「メッシュ型」というトポロジを用意しています。近隣の、つなげる限りのノードと勝手につながることで、網目状のネットワークを構築するわけです。

ZigBeeノードには、Full Function Device(FFD)という、1対多の通信が可能なモジュールと、Reduced Function Device(RFD)という、1対1の通信しかできないものがあり、これらを適切な間隔でばらまくことで、適度なメッシュ構造ができるのではないかといったものです。

ちなみにZigBeeの規格としての通信トポロジは、スター、メッシュ、クラスタツリーの3種です。これらのトポロジによって、自律的な通信経路の構築が期待できるのがZigBeeの大きな特徴です。

3 当社の提供するWSSモジュール&WSSソリューション

ここまでZigBeeについて述べてきましたが、当社が開発中のモジュールは、ZigBeeには対応していません。最初に述べたように、ZigBeeは、実際にはネットワーク層から上のプロトコルスタックの規格であり、物理層(PHYとMAC)には、IEEE802.15.4という規格を使うことを決めています。

通常、IEEE802.15.4とZigBeeとは密接な関係にあり、セットで扱うことが多いのですが、当社の場合、IEEE802.15.4に準拠しているチップを使い、独自プロトコルを載せて「無線センサーノード」として販売する予定です。Ethernetケーブルは使うけど、TCP/IPではない独自プロトコルを使ってネットワークを組もうと客先に提案しようとしているようなものです。

ちょっと古い例ですが、AppleのEtherTalkのようなものです。当社がZigBeeを採用しない大きな理由は、

  • できる限りの省電力を実現する
  • 相互接続性(標準規格準拠)は必要ない

というものです。

自律的なネットワーク構築やアドホックへの対応のために、ZigBee規格はどうしても待機時に電力を使います。これを、「自律的にネットワーク構築をさせなくても、最初だけ人の手で効率配置すれば、その後の電池の減りを節約できる」と考えたわけです。

例えば、ある一定の範囲の温度を管理したいとか、橋のところどころに振動センサーを配置して揺れの大きさを調べるというような目的なら、一社のモジュールでシステム構築すれば良いわけで、他社モジュールとの相互接続性のための標準規格準拠は必要ないという判断です。

接続図

現在、当社では、CPU+IEEE802.15.4通信チップ+温度センサー(他のセンサーをつなぐI/Fあり)+リチウムイオン一次電池という構成のモジュールを開発しています。電池をのぞく基盤のサイズは、40mm×60mmを実現しています。前述のオリジナル通信ソフトウェアが含まれます。当社は独自ソフトウェアアーキテクチャであることとそのことによる省電力、(電池を数年持たせることが目標)、管理ソフトやゲートウェイノードまで含めたトータルソリューションの提供をすることが特徴となります。

4 まとめ

前述の産業用途ではなく、家電の制御などの、家庭用、コンシューマ市場用途だと、様々なモジュールが混在してお互いに通信できなくてはならないため、「ZigBee完全準拠」などを意識する必要がでてきます。

ここまでワイヤレスセンサーネットワークソリューションについて述べてきましたが、当社でももちろんZigBeeに反対しているわけではなく、互換性が必要なシステムなどでは積極的にZigBeeを採用したシステムを提案します。しかし、さらなる省電力が必要とされるクローズドシステムにおいては、当社の独自プロトコルが威力を発揮する場面は多いのではないかと考えています。

今回のここだけは抑えたい!

WSS採用のポイント
  • マルチベンダーモジュール同士の通信が必要か?
  • 電力消費の優先順位は?

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